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おりがみについて

目次

おりがみの歴史

折り紙は日本の伝統的な文化的芸術であり、少なくとも1000年以上の歴史があるとされています。

折り紙の起源についてははっきりとは分かっていませんが、平安時代の貴族たちが紙を折って贈り物や大切なものを包み、遊んでいたという話が伝えられています。平安時代に製紙の技術が確立しましたが、和紙の普及は進んでおらず紙は高級品の時代でした。主な用途が記録用だった和紙は、神への供物を包むような神事にも用いられ、儀礼折りとして発展していきました。十二単があるように、当時の貴族たちは色合わせや紙の重なりの工夫を楽しみながら、紙を折っていたのかもしれませんね。

江戸時代に入ると和紙の生産量も増え、折り紙が広く普及しました。子供たちの遊びや遊女たちの娯楽など、「遊戯折り紙」として広まりました。 製紙技術が向上したことでより細かな折り目を作りやすく、幾何学的な模様や動物、植物、人物などの緻密なデザインが可能になりました。寛政9(1797)年には現存している中で世界で最も古い折り紙の本「秘傅千羽鶴折形」が出版され、現在でも折り紙愛好家がその高度な技術が求められる折り方に挑戦しています。

江戸時代は浮世絵や小説、歌舞伎など、様々な文化が発展した時代であり、折り紙もそれらの文化と密接に結びついていました。 江戸時代の折り紙は、現代の折り紙の基礎となる多くの技法が確立され、現代の折り紙の発展に大きな影響を与えたと言われています。

現代においても折り紙は日本の文化的遺産として大切にされ、その緻密に作られた折り紙の美しさは世界からも注目されています。さらに、折り紙の図案や技法は進化し、現代アートや科学技術分野にも応用されるようになっています。材料は和紙だけでなく、洋紙や金属箔、プラスチックなど、さまざまな素材を使って折ることができます。 コンピューターや3Dプリンターなどの技術の進歩により、新しい折り方や技法が次々に考案され、複雑なデザインの折り紙が作られるようになりました。 また、折り紙は教育現場でも活用され、数学や物理学などの科目で教材として使われることもあります。

知育効果と老化防止

折り紙には様々な知育効果があります。

折り紙は手先を使うため、子どもの手指の発達にも役立ちます。指先の感覚を磨くことで、手先の器用さや細かい動作の調整能力の向上につながります。 さらに、折り紙の折る順番を考えながら理解していくことで、想像力や問題解決能力を養うことができます。折る順番をクイズのように見立てるようにゲーム感覚で遊ぶと、コミュニケーションが取れるだけでなく、上手く折れた時の達成感と満足感を与えることができます。 また、折り紙を通じて、和紙や日本の伝統文化に触れることができます。これにより、子どもの文化的理解や感性、色彩センスを養うことができます。

こうしたメリットから、教育現場でも折り紙は広く利用されています。 例えば、折り紙は幾何学的な形を折り出すことができるため、数学の授業でも利用されます。折り紙を使って平面図形や立体図形を作り出したり、形の性質や面積、体積などを学んだりすることができます。

高齢者介護施設では認知症予防の面からも、折り紙は注目されています。

細かな指先の動きや、折り方の順番を考えながら折ることで脳を活性化させる効果が期待でき、完成した達成感から自己肯定感が得られます。さらに、昔に折り紙を作ったことを思い出したり、周りの人と喋りながら作ったりすることで、 認知症に効果があるとされる心理療法の「回想法」を利用したトレーニングにもなります。

こうした理由以外にも、年齢や性別を問わず気軽にでき、準備物は紙だけで負担が少ないことから高齢者介護施設ではよく折り紙が使われているようです。

世界から見たおりがみ

近年は、折り紙の美しさや表現力が高く評価され、海外でも注目を集めています。日本のお土産として折り紙を贈ると非常に喜ばれ、日本文化として人気が高いことがうかがえます。 世界各国にも折り紙愛好団体があり、折り紙のワークショップが開催されたり、折り紙の展示会やコンテストが開かれたりしています。

また、日本と同様に多くの国々では独自の「伝承折り紙」があります。たとえば、中国では「壺」、スペインでは「小鳥」、フランスでは「ココット」が有名です。フランスの「ココット」は日本では「パックンチョ」として親しまれているものです。

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