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和紙について

目次

和紙の歴史

和紙の歴史は古く、紀元前から存在していると考えられています。和紙の発祥については諸説ありますが、一般的には中国から伝えられたとされています。日本においては、奈良時代に仏教が伝来すると、経典や仏像などを紙で作り、それに合わせて和紙の製造技術が発展しました。

平安時代には、和紙が一般的な書物の材料として使用されるようになり、貴族や公家の文化に欠かせない存在となりました。平安時代末期から鎌倉時代にかけて、武家の文化が発展する中で、和紙が武具や茶道具、屏風、屋敷の壁紙などの製造にも用いられるようになりました。

江戸時代には、和紙の製造技術が発展し、様々な種類の和紙が生まれました。和紙は文化や芸術に欠かせない存在となり、浮世絵や書画、和服などの製造にも広く用いられました。江戸時代には和紙の生産地も全国に広がり、現在でも和紙の生産地として名高い地域が多く存在しています。

現代においても、和紙は伝統的な文化や芸術、工芸品などに用いられるだけでなく、近年では環境に優しい素材として注目され、建築材料やインテリア雑貨などにも使用されています。

和紙の歴史は、折り紙の歴史と深く関連しています。

紙が発明されたことにより、折り紙の創作や普及が可能になりました。和紙は、柔軟性があり、折り紙に適した質感や強度を持つことから、折り紙の材料として最適なものでした。また、和紙の製法や品質が発展するにつれ、さまざまな種類の和紙が作られるようになり、それぞれの和紙に合わせた折り紙の技法や表現方法が生まれました。紙の発明と和紙の発展がなければ、折り紙の歴史もまた、異なるものになっていたかもしれません。

和紙の優れた点

  • 耐久性

    繊維が密集していて強度が高く、長期間使い込んでも劣化しにくいため、古文書や美術品の保存に適しています。奈良の正倉院にはおよそ1300年前の物といわれる和紙が残っているほど。耐久性、保存性、柔軟性、安定性が高い評価を得て、国内は勿論、世界中の文化財の修復にも活躍しています。和傘にも使用されるほか、紙布(しふ)で作られる着物まであるのです。

    さらに、通気性が良いため、湿気やカビなどの発生を防止することができます。これは、日本の古民家や神社仏閣などで壁や天井に使用される理由の一つでもあります。

  • 美しさ

    和紙は独特の風合いや色合いが美しく、繊細で上品な印象を与えます。和紙を使った工芸品や和服、屏風、絵画などは、独特の日本文化や美意識を表現しています。和紙の美しさは、その細かい繊維の質感や、手作りであることによる温かみ、そして光の加減で表情が変化することにも由来しています。

    また、和紙は植物繊維で作られているため、自然な風合いがあります。和紙は、柿渋や酢などの自然素材を使って加工することで、色や質感が変化し、より美しく仕上がることもあります。

  • 環境に優しい

    和紙は環境に優しい素材としても注目されています。和紙は天然素材であり、製造過程でも化学薬品を使用しないため、環境に優しい素材として期待されています。また、和紙はリサイクルが可能であり、廃棄物としても環境への負荷が低いため、持続可能な素材としても注目されています。

和紙の作り方

和紙の代表的な原料は楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)です。

和紙の製法には機械漉きと手漉きの2つがあります。現在、日本で流通している和紙のほとんどは機械漉きです。手漉きは高度な技術が必要とされますが、機械漉きに比べて繊維がよく絡んで強度が上がり、破れにくくなります。

  • 1.原料を皮だけにする

    楮(こうぞ)などの原料を収穫し、窯に入れて煮炊きしたら皮をむきます。

  • 2.皮を繊維にする

    皮の繊維質だけを取り出し、繊維が綿のようになるまで叩いたりほぐしたりします。

  • 3.材料を混ぜる

    一度脱水し、繊維にとろろ(トロロアオイからとれる粘り気のある液)を加え、漉き船の中に流し込みます。

  • 4.紙漉き

    簀桁(すけた)を揺らして紙を漉きます。簀桁は木枠と、取り外しできるすだれからできています。

  • 5.脱水・乾燥

    漉き終わったら桁から簀を外して、ろ過された紙をプレス機にかけて脱水します。天日干しや、熱した鉄板を利用して乾かします。

  • 6.仕上げ・検品

    破れやごみがないか検品して、和紙の完成です。

和紙の産地

和紙の産地は、日本全国にわたっていますが、特に代表的な産地として以下のものは三大和紙と呼ばれています。

  • 美濃和紙 岐阜県

    美濃和紙の起源はおよそ1300年前とされ、奈良の正倉院に所蔵されている美濃和紙でできた戸籍用紙が日本最古の紙と言われています。

    繊細な風合いで耐久性もあることから世界からも高い評価を得ており、古文書や絵画の修繕などにも使用されています。

  • 越前和紙 福井県

    約1500 年の歴史を持つ越前和紙は、最も長い歴史を持つ和紙と言われています。

    今日では和紙繊維に抗菌性、消臭性、調湿性、保水性の効果が認められて、宇宙滞在用被服として和紙繊維で作られた靴下が採用され、用紙の枠を超えて幅広く活躍しています。

  • 土佐和紙 高知県

    土佐和紙の特徴は、繊維が長く絡みやすい土佐の楮で作られることで薄くても丈夫な紙が漉くことができる点です。

    戦国時代、「土佐七色紙」は土佐藩から幕府への献上品として藩の保護を受け、これによって土佐和紙は土佐の特産品として広く知られるようになりました。

徳島の和紙

徳島県の阿波和紙の歴史は古く、1300年前の奈良時代に忌部氏が作った紙が朝廷に献上されたという記録があります。江戸時代、阿波藩によって保護奨励された阿波和紙は、特産の藍を使った藍染め和紙が評判となりました。

近年はインテリアや、オフセット印刷ができる和紙や文具など、時代に合わせた製品も作られています。世界的に著名なアーティストの作品に阿波和紙が使われており、デジタル作品に対応できるようインクジェットプリントが可能な和紙が開発されました。

主な生産地は徳島県吉野川市、那賀郡那賀町、三好市池田町です。

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